この記事ではコンクリートの種類とその用途についてまとめていきます。
コンクリートの種類は多岐にわたっており、その用途は様々です。この記事では用途からコンクリートを大別し、それらを表としてまとめています。用途からそれに適したコンクリートを探し、設計や構造計算などに役立ててください。
目次
一般的なコンクリート
コンクリートの種類 | 主な用途 | 内容 | |
一般構造用コンクリート | 一般的なもの | 建築構造用コンクリートと土木構造物用コンクリートに適している。 |
夏季や冬季に適したコンクリート
コンクリートの種類 | 主な用途 | 内容 | |
暑中コンクリート | 日の平均温度が25[℃]を超えることが予想される場合に使用される。水和熱の小さいセメントを使用したり、コンクリートの温度を35[℃]以下となるように攻め年と以外の材料を冷却したり、固まるのが遅くなってしまう混和材の使用や、水分の急激な発散を防ぐ養成方法をとったりする。 | ||
寒中コンクリート | 日の平均温度が4[℃]以下になると予想される場合に効果を発揮するコンクリート。セメント以外の材料を暖めてコンクリートの温度を高めることができる。 |
大型構造物・高層ビルなどに適したコンクリート
コンクリートの種類 | 主な用途 | 内容 |
高強度コンクリート | 橋梁、高層ビル、プレキャスト工場製品、など | 通常のコンクリートよりも、強度が高いコンクリート。 |
流動化コンクリート | 高層ビル、プレキャスト工場製品、など | 流動性を高めることで、水セメント比を変えずに施工の難度を下げることのできるコンクリート。 |
マスコンクリート | ダム、橋桁、など | 断面寸法の大きい大型構造物や規模の大きい構造物に適しているコンクリート。 |
高流動コンクリート | 高層ビル、大型構造物、など | 流動化コンクリートの性質をもちながら、コンクリートの型枠へ流し込む際の振動締め固め作業が必要のないコンクリート。 |
低発熱コンクリート | 高層ビル、大型構造物、など | コンクリート硬化時の発熱量を小さくすることによって、温度変化によって発生する応力の軽減をするコンクリート。 |
ひび割れ軽減の性質を持つコンクリート
コンクリートの種類 | 主な用途 | 内容 |
プレストレストコンクリート | 建築物の梁、長大橋、パイル、ボールなど | あらかじめ適切な圧縮力をかけことで、ひび割れを軽減するコンクリート。 |
膨張コンクリート | 建築物の床や壁、漏水防止用コンクリート、コンクリート製品など | 乾燥収縮の際に発生するひび割れをて低減ために、膨張剤を混ぜたコンクリート。 |
低収縮コンクリート | 厚さの小さいコンクリート、壁スラブなど | コンクリートが乾燥収縮する時に発生してしまうひび割れを抑制するために、収縮低減剤を混入させたコンクリート。 |
引張・曲げ抵抗をもつコンクリート
コンクリートの種類 | 主な用途 | 内容 |
ポリマーコンクリート | 防水ライニング、U字溝、防水ライニングなど | 引張や曲げに対する抵抗性をもつためや、防水性・伸び能力を改善するために、合成高成分分子材料であるポリマーなどをセメントの一部などに用いたコンクリート。 |
繊維補強コンクリート | トンネル覆工、プレキャスト部材、コンクリート製品など | 引張や曲げに対する抵抗性、粘りなどの改善をするべく、ガラス繊維や鋼繊維などを混ぜたコンクリート。 |
その他のコンクリート
プレキャストコンクリート
コンクリートの製造時に、コンクリートの練り混ぜ、打設、養成の一連の作業を行い、完成品として建設現場に送ってしまうもの。現場での施工は簡単になるが、完成しているコンクリートの運送などの兼ね合いが重要となる。防護柵、まくら木、ブロックや建物の壁などに使われている。
水中コンクリート
水中でコンクリートの施工が必要な場合に使用するコンクリート。構造物の大容量の基礎が中心となって使われている。特徴としては、水セメント比が50%以下、単位セメント量を大きい、細骨材が大きいといった点がある。海中の橋脚の基礎部分や、防波堤・護岸などに使用されている。
軽量コンクリート
軽量骨材を用いたり多量の気泡を含ませて、コンクリートの軽量化を図っているコンクリート。鉄骨造の壁や床、屋根剤、外壁、間仕切りなどで使われている。
吹付けコンクリート
モルタルやコンクリートを圧縮した空気によって吹き付けて施工するコンクリート。斜面に使用されるコンクリートやトンネルの一次覆工などに使用されている。
プレパックドコンクリート
型枠の中にあらかじめ特定の粘度をもつ粗骨材を混ぜ、その間隙にモルタルを注入してつくったコンクリート。水中コンクリート工事の際や、放射線を遮蔽するコンクリート工事などの複雑な箇所への使用がされている。
再生コンクリート
近年注目されている省エネルギーを目指して、資源のリサイクルを図るために、コンクリート解体時にできるコンクリート塊を砕いて使った再生骨材を使用したコンクリート。均しコンクリートや裏込めコンクリートなどに使われている。
遮蔽用コンクリート
放射線を遮蔽することを目的に使用されるコンクリート。一般的にはスランプが5~10[cm]以下、水セメント比の範囲は45~55[%]程度のものが使用される。原子力発電所や医療用照射室、アイドトープ貯蔵庫などに使用されている。