この記事では鉄筋コンクリートにおける鉄筋とコンクリートの付着について紹介していきます。

鉄筋とコンクリートはセットで鉄筋コンクリートとして使われることが多いですが、そもそも鉄筋とコンクリートが一体化していないと構造材として意味がありません。鉄筋とコンクリートの一体化をするための鉄筋(異形鉄筋)とコンクリートの付着の仕組みについて紹介します。

それでは早速内容に入っていきましょう。

 

鉄筋とコンクリートの付着の仕組み

鉄筋とコンクリートは主に接着作用・摩擦作用を利用して付着しています。

接着作用はコンクリート内に含まれるセメントが持っている作用です。セメント硬化時に鉄筋も一緒に接着される仕組みです。

また、摩擦作用も鉄筋とコンクリートの付着を手助けしてくれます。摩擦は一般的に変化に対する抵抗力ですが、摩擦も鉄筋とコンクリートが剥離しないよう手助けしてくれます。

しかし上の2つだけでは鉄筋とコンクリートが剥離してしまう場合があります。そのような場合に付着を強めるために異形鉄筋を利用します。

 

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画像出典:画像出典:http://www.asahi-kg.co.jp/steel/detail/1

上の画像が異形鉄筋です。鉄筋をデコボコに加工することによって鉄筋とコンクリ=トの付着力を向上します。機械的に噛み合い作用を与えることで、丸鋼の2~3倍もの付着強度を付与することができます




 

異形鉄筋の付着の破壊機構

さて、ここまで異形鉄筋を使用することで鉄筋とコンクリートの付着強度が強まることを紹介しましたが、異形鉄筋を使うことによってコンクリートが破壊されてしまう現象があります。ここではそれについて解説をしていきましょう。

ここで紹介するのは、異形鉄筋を使うことによって生じる局部圧縮破壊とせん断破壊、割裂破壊についてです。最初に局部鉄筋破壊について説明します。

 

異形鉄筋による局部圧縮破壊について

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局部圧縮破壊は異形鉄筋を用いるからこそ起こる現象です。異形鉄筋の凹凸部分に過剰な圧縮作用が働いてしまい、上の図の水色部分に圧縮破壊が発生してしまいます。異形鉄筋は鉄筋とコンクリートの付着を強化するために使用しますが、このような局部圧縮破壊をもたらしてしまうことがあります。

上の図のaとcについてですが、一般的にa/c<0.1の関係になると、局部圧縮破壊の危険性が上がります。局部圧縮破壊が起こらないようにするためには、a/c>0.1の関係が最低限成り立っていなければなりません。




 

異形鉄筋によるせん断破壊について

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せん断破壊は、上の図にある異形鉄筋の凹部分にあるコンクリートがせん断破壊されることです。せん断破壊も異形鉄筋を使用することで起こってしまうものの一つです。

せん断破壊は一般的にa/c<0.15になってしまうと発生する危険性が増加します。局部圧縮破壊はa/c<0.1で危険性が高まりますから、大抵はa/c≒0.15~0.2の異形鉄筋を使用することが多いです。これは知識として覚えておきましょう。

 

異形鉄筋による割裂破壊について

最後に異形鉄筋による割裂破壊について紹介しましょう。

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割裂破壊とは、異形鉄筋の凹凸(フシ)がコンクリートを押し広げてしまうことで、コンクリートの表弁に亀裂が発生してしまう現象です。割裂破壊が生じるとコンクリートの柱やはりなどの耐力は急激に低下してしまうので、注意が必要です。

 

まとめ

今回は鉄筋コンクリートで使う異形鉄筋の付着と、異形鉄筋を使うことによって起きてしまう剥離現象について紹介しました。異形鉄筋を使用するときには、代表的なものとしては

  • 局部圧縮破壊
  • せん断破壊
  • 割裂破壊

が起こってしまわないように注意が必要です。今回紹介した記事は構造計算をする上で必要な知識ですので、ぜひ覚えておいてくださいね。

今回の記事は以上になります。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。