この記事ではクレモナ図法による解法について紹介していきます。
例題を示しながらクレモナ図法の解法について紹介していきますので、実際に紙とペンを使いながらこの記事を読んで聞くと効果的に理解を深めることができます。ぜひ手を動かしながら読んで言ってくださいね。クレモナ図法でポイントとなるのは、力をしりとりして求めるイメージです。今回はそのイメージを説明しながら実際に問題を解いていきます。
それでは早速内容に入っていきましょう。
クレモナ図法の解法:例題を紹介
まずは下の図をご覧ください。
今回はこの図を例題として、示力図をクレモナ図法によって書いていきます。
支点反力を求める
最初に支点反力を求めます。支点反力は基本的にどの解き方でも一番初めにやる手順です。いつも通り解いていきましょう。
支点反力は各支点に働くので、支点反力を図に書き入れると下のようになります。
支点反力RA, RBの数値を計算する前に、aとbの長さを求めなければいけません。しかしこれは三角比から求めることができます。まず部材ACと部材BCの長さを求めましょう。
三角形のそれぞれの角が90[°]、60[°]、30[°]なので、1:2:√3で計算できます。これで計算をすると、部材AC=1[m]、部材BC=√3[m]であることがわかります。
部材のそれぞれの長さがわかりましたので、次にaとbの長さを求めていきます。これも先ほどと同様に三角比を用います。計算をすると、a=0.5[m]、b=1.5[m]と求めることができます。aとbの長さがわかりましたので、それらを図に書き入れましょう。
さて、それぞれの長さがわかりましたので、支点反力を求めます。わかりやすいように、図を下のように変えて考えていきましょう。
支点Bを中心として、力のモーメントの釣り合いから支点反力RAを求めます。
RA × 2 = 1,000 × 1.5
∴RA = 1,000×1.5/2 = 750[N]
∴RB = 1,000 – RA = 250[N]
支点反力が求まりましたので、それぞれの値を図に書きいれましょう。
節点Aの力の釣り合いのとり方を考える
次に、力の釣り合いのとり方を考えていきます。今回の例題での力の釣り合いのとり方の手順は以下の通りです。
- 求めた支点反力ca(RA)を描く
- a点にadの作用線を描く
- c点にdcの作用線を描く
- 2本の作用線の交点がdになる
- ca→ad→dcとなるように、力の向きを決める(これが記事冒頭で紹介した力のしりとりのイメージです)
文章だけではわかりにくいはずなので、実際に図を書きながら説明していきます。
この手順で節点Aにどのような力の釣り合いが発生しているかを求めることができます。この図は示力図を描くときにも使います。
節点の力の釣り合いを求め、示力図を求める
次に、先ほど節点Aで示力図を求めたのと同様に、各節点での示力図を求め、最終的に全体での示力図を求めます。
A点で示力図を求めましたので、他の節点の示力図の求め方は割愛し、答えだけ下の図で紹介します。
さて、各節点での示力図が求まりましたので、全体としての示力図を描きましょう。
トラス全体の示力図を描く
全体の図を描くと下のようになります。
示力図は力の大きさだけを描きます。そのため、示力図に力の矢印を描き入れることはありません。
実際に力がどのように働いているかを描くと、下の図のようになります。
そして、示力図をもとにトラスにどのように力が作用しているかを考えてみます。
このように、それぞれの部材には圧縮あるいは引張が作用しています。矢印は力の方向、楕円内にある文字は軸の内力です。内力は外力の抵抗力ですので、力が引張の作用をしていればそこの内力は圧縮、力が圧縮の作用をしている場合は内力は引張として作用します。
まとめ
今回はクレモナ図法による示力図の描き方について説明しました。ここで示力図の描き方の手順についておさらいしましょう。
- 支点反力を求める
- 節点Aの力の釣り合いのとり方を考える
- 節点の力の釣り合いを求め、示力図を求める
- トラス全体の示力図を描く
この手順でした。一回だけではどうしても覚えきれないと思うので、何度かこの記事を復習しながらクレモナ図法をマスターしていってください。
今回の記事は以上になります。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
何か質問があれば、コメント欄にて気軽にご相談ください。