この記事では金属の性質とその変形に関して取り扱っていきます。
建築物にもよく使われる金属材料の性質にはいくつか種類があります。
- 外力に対して変形しにくい剛性という性質
- 外力に比例して変形する弾性という性質
- 平常変化を残留させる塑性という性質
金属の性質については、建築物以外の設計をしていく上でも重要です。
今回の記事では、この金属の性質についてを解説していきます。
剛性・弾性・塑性とはどんな性質?
では早速金属の変形に関してを紹介していきましょう。
自動車の材料について今回は例をとって説明していきます。
剛性とはどんな性質?
自動車のボディや機械部分などの材料は、荷重や外力に対して抵抗力を持っています。
この抵抗力があるため、ボディなどは変形をしにくいわけです。
荷重や外力に対して変形しにくいのが剛性という性質です。
剛性という言葉に関しては、高校の物理でも登場しました。
モーメントの計算をするときに、剛体という物質を考えましたが、これは変形のしない物体です。
モーメント計算時に変形をしてしまうと難しい計算になってしまうため、剛性の物体である剛体を用いて計算をしました。
この性質が、上で説明した剛性だったのです。
弾性とはどんな性質?
次に弾性についてです。
これは高校物理でもおなじみの性質だったのではないでしょうか。
自動車の支えるサスペンションのバネは、染めんの凹凸状態に合わせて伸縮します。
それが衝撃を吸収して力を蓄えたり反発をします。
このバネによって自動車に乗る人への衝撃を和らげてくれるのです。
バネなどの衝撃を吸収して力を蓄えたり反発したりする性質を弾性といいます。
弾性に関してはバネが一番を想像しやすいのではないでしょうか。
高校物理でもバネに関する問題を多く取り扱っていたと思いますが、そのバネの性質が弾性です。
塑性とはどんな性質?
最後に塑性についてです。
自動車のボディを作る際に、金属板などを加工します。それはもともと金属板であったものが、加工をされることによって複雑な形状になるのです。そのように複雑な形状を加工するには、材料が変形をして形状を変える性質がなければなりません。この材料が変形して、その形状を保つ性質が塑性です。
弾性変形とは?
では金属の性質について説明が終わったところで、次に弾性変形について解説をしていきます。
弾性とはバネのような力をなくすと元に戻る性質でしたね。
その性質を頭におきながら弾性変形について読んでいってください。
応力ひずみ線図に関して以前まとめましたが、この応力ひずみ線図には弾性変形が顕著に現れている部分があります。
下の応力ひずみ線図を見てみましょう。
この応力ひずみ線図の弾性領域ないでは、材料の変形と外力が大きく比例します。
そのため外力を除去すると変形がゼロに戻る弾性変形がおきます。
バネにかかっている力をなくすと元の形状に戻るのと同じです。
材料に与える力が大きくなればなるほど、大きく変形するものが弾性変形と覚えておきましょう。
外力が大きいほど変形量も大きくなるので、変化量を小さくしたい場合には材料自体を強くしたり、寸法を増したりと行った工夫が必要になってきます。
この弾性変形には、バネ以外にも以下の図のような片持ち梁でも起こります。
塑性変形はどんな変形の特徴?
では次に塑性変形についてです。
塑性とは材料に与えた変化がそのまま形状として残るものでした。
鉄鋼の応力ひずみ線図ですが、初めの弾性領域以降では外力を除去しても材料に与えられた変形が残る塑性変形がおきます。
自動車のボディの加工について上で少し説明しましたが、金属板に非常に大きな力を加えて塑性変形を起こすことで、自動車のボディとしての形状が出来上がるわけです。
自動車のボディは、薄い金属板に与えた塑性加工による永久ひずみによって作られた形状なのです。
このように材料に残った永久ひずみが加工後の形状となります。
また、材料を曲げてから外力をのぞいた時、弾性によって少し戻る現象をスプリングバックと呼びます。
ちなみにスプリング(spring)とは日本語で「バネ」という意味です。
まとめ
今回は金属の性質について説明をしました。
剛性という外力によって変形しない性質。
弾性という外力をなくすと元に戻る性質。
塑性という外力によって変形し、その形状を保つ性質。
金属には以上のような性質があることを覚えておいてください。
また、弾性変形と塑性変形に関しても紹介しました。
弾性変形とはバネのような力を除くと元に戻る変形でしたね。
次に塑性変形とは大きな力を与えることで、変形後の形状になるものでした。
この二つの変形も覚えやすいと思うので、ぜひ頭の片隅にでも入れておきましょう。
今回の記事は以上になります。
最後まで読んでいただき、あいがとうございました。