この記事ではポルトランドセメントの製造方法・製造工程について紹介します。
セメントの中でも最も一般的であるポルトランドセメントにおいて、製造工程は大きく分けると3つに分類されます。それらの工程を順を追って説明していきます。
ポルトランドセメントの製造:原料工程
ポルトランドセメントの原料は、ほとんど国内で調達することができます。セメントの製造時に最も使う原料である石灰石は、炭酸カルシウムの化学組成を持つものです。工業用セメントには肥料なども多く使われており、それらも日本国内で調達できるものでどれも高品質だと言われています。
また、石灰石と同じくポルトランドセメントの原料となる珪石は、鉱物名を「石英」と言います。石英はガラスや陶芸などにも用いられますが、愛知県や静岡県に名産地があります。
もう一つの原料とされる石膏は、セメントの硬化速度を早めるために使用されます。石膏は最も普通に算出する硫酸塩鉱物です。
ポルトランドセメントの原料については下の記事で詳しく解説をしておりますので、さらに理解をしたい方はお読みください。
ポルトランドセメントの製造工程である原料工程は、核原料が一定の割合で混ぜられ、ドライヤという機械で乾燥され、原料粉砕機で細かく砕かれます。できた粉末をサイロに貯蔵をしていきます。
現在のポルトランドセメントの製造機の1つである原料粉砕機は、原料の乾燥・粉砕、粗粒、微粒の文久を3つの機能を合わせもつ「たて型ミル」というものが主流となっています。
ポルトランドセメントの製造:焼成工程
原料工程が終わると、次に焼成工程に入ります。焼成工程では、粉末にした原料を予熱機に通します。その後に焼成キルンを通過させておよそ1450[℃]ほどで焼きます。
焼成キルン・予熱機とは?
焼成キルンとは、粉末になったセメント原料を高温で焼く(焼成する)ための機械です。そして予熱機とは、焼成キルンを使用する際に発生する高温の排気ガスをそのまま利用し、原料の温度をあらかじめ上げておくための機械です。予熱機に通してから焼成キルンで原料を焼成することで、原料の温度が段々と上がっていきます。
セメント原料を機械で焼くと、原料同士で化学反応が起き、水硬性を持ったセメントの元となる「クリンカ」という鉱物に変化します。クリンカとなったセメント原料は、焼かれた後に冷却器で冷やされ、一度サイロに貯蔵されます。
ポルトランドセメントの製造:仕上工程
仕上工程はポルトランドセメント製造の最後の工程です。焼成工程で出来上がったクリンカに石膏を混ぜます。一定の割合で混ぜられたクリンカと石膏を仕上粉砕機で更に細かく粉砕します。仕上粉砕機でできる粉末の大きさは平均粒径10[μm]程度となります。
次に仕上粉砕機で粉砕された粉末を「セパレータ」という機械にかけます。セパレータは粉末をその大きさによって分ける機械で、これによって粉末は粗粉と微粉に分けられます。粗粉はもう一度仕上粉砕機に回されます。微粉はセメントとして取り出します。
仕上粉砕機はドラムを回転させ中に通すものを互いに衝突させながら粉砕する機械ですが、ドラムの回転数を制御することで、粉末の大きさをコントロールすることができます。これによってクライアントの要求に合わせたセメントを作り出せる仕組みとなっています。
できたセメントは、水和反応をさせることでコンクリートへと変化します。コンクリートセメントの硬化の原理と水和反応については下の記事にて紹介していますので、ぜひお読みください。
まとめ
この記事ではポルトランドセメント(セメント)の製造工程について紹介しました。ポルトランドセメントの製造には多きく分けて3つの工程がありそれらは
- 原料工程
- 焼成工程
- 仕上工程
でした。これらの工程をを経て原料からセメントへ変化します。それぞれの過程がどのようなことをしているのか、この記事でイメージがついたのではないでしょうか。全てを詳しく覚える必要はありせんが、それぞれがどのようなことをしているのかをなんとなく理解しておくと良いでしょう。
今回の記事は以上になります。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。