この記事ではコンクリートの要求性能についてまとめていきます。

要求性能とは、求められる性能のことを指します。同じコンクリートでも、生コン(フレッシュコンクリート)の状態と硬化コンクリートの状態では要求性能が異なってきますので、それらを確認しながら確認していきましょう。では内容に入っていきます。

 

コンクリートの要求性能まとめ

早速コンクリートの要求性能についてまとめていきましょう。フレッシュコンクリート(固まる前のコンクリート)と硬化コンクリート(固まった後のコンクリート)に求められる性能についてです。

 

フレッシュコンクリート(生コンクリート)の要求性能

まず最初にフレッシュコンクリート(生コンクリート)の要求性能です。フレッシュコンクリートとは生コンクリートとも呼ばれており、固まる前のコンクリートのことを指します。

 

施工軟度(Workability)の確保

まずはじめにフレッシュコンクリートの要求性のとしては、施工軟度を確保することです。施工軟度とはコンクリートを施工する際の施工のしやすさのことです。もちろんですが固まってしまったコンクリートを再び施工することは大変です。そのためコンクリートはフレッシュコンクリートの状態で運び、そのまま型に流して形を形成しますが、フレッシュコンクリートは施工軟度を確保することが要求性能ということができます。

施工軟度(Workability)の測定方法としては、スランプ試験があります。

スランプ試験とは?

スランプ試験とは、フレッシュコンクリートの品質を図るための試験の一つです。下の図をご覧ください。

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フレッシュコンクリートを適当な型に入れ、固まらないうちに型枠を外します。型枠を外してはじめの高さからどれだけ低くなるかでフレッシュコンクリートの品質を測ることができます。

落ち込み高さ(スランプ)が大きければ大きいほど、フレッシュコンクリートが軟らかいということになります。

スランプ試験で落ち込み高さが大きいということはフレッシュコンクリートが軟らかいということですが、フレッシュコンクリートが軟らかいということは、施工がしやすいということになります。

 

耐凍害性の確保

フレッシュコンクリート(生コン)には耐凍害性を確保するという役割があります。凍害とは、コンクリートの内部に含まれている水分が凍結・融解を繰り返すことによってコンクリート自体が劣化していく現象のことです。

 

コンクリートの耐凍害性はコンクリート内に存在する空気量と密接に関係しています。コンクリート内に含まれる空気量が同じな場合。気泡が小さければ小さいほど耐凍害性は向上します。フレッシュコンクリート(生コンクリート)の状態では気泡などの操作が可能ですので、耐凍害性の確保はフレッシュコンクリートの役割ということができます。




 

硬化コンクリートの要求性能

次に硬化コンクリートの要求性能についてまとめていきましょう。こちらは基礎的なことが多いですが、復習も込めて読んでもらえると良いかと思います。

 

強度の確保

何と言っても硬化コンクリートの一番の役割・要求性能は強度を保つことです。特に圧縮強度を保つのがコンクリートの一番の要求性能です。コンクリートが強度(圧縮強度)を保つためには、コンクリートの水セメント比への考慮が欠かせません。水セメント比などのコンクリートの構成に関しては、以前の記事でまとめてありますので下のリンクからご覧ください。

コンクリートの構成材料とその役割・水セメント比まとめ

 

剛性の確保

次の硬化コンクリートの要求性能は剛性を確保することです。剛性とはたわみにくさのことですが、ヤング率に断面二次モーメント(EI:曲げ剛性)に比例します。ヤング率や断面二次モーメントは下の記事に詳しいことをまとめています。

ヤング率(縦弾性係数)とは?求め方を解説!

断面二次モーメントとは?計算方法は?導出過程についても紹介!

 

耐久性・耐火性の確保

こちらはいうまでもないかもしれませんが、コンクリートの特徴は耐久性や耐火性に優れていることです。そのため硬化コンクリートの要求性能にこれらをあげました。




 

まとめ

今回の記事では生コン(フレッシュコンクリート)の要求性能と硬化コンクリートの要求性能についてまとめました。生コンの状態にしかない性質、硬化コンクリートにしかない性質を確認しました。関連記事にあるコンクリートの構成材料やヤング率・断面二次モーメントも材料力学に置いて重要な概念ですので、確認してみてくださいね。

今回の記事は以上になります。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。