この記事では鉄筋コンクリートの特徴についてまとめていきます。鉄筋コンクリートには様々な長所と短所があります。建築構造をするに当たり、鉄筋コンクリートの特徴を把握し、長所を生かして短所を補うことは必須になります。この記事で特徴について理解をし、今後の設計に役立つ知識を身につけましょう。

それでは内容に入っていきましょう。

 

鉄筋コンクリートの特徴:長所とその注意点について

鉄筋コンクリートのには多くの長所があります。この長所が現代の鉄筋コンクリート造の構造物が多い理由です。様々な長所を一つ一つ紹介していきます。

 

耐火性に優れている

まず挙げられる鉄筋コンクリートの長所として、耐火性に優れていることです。コンクリートが火に強いのは普段の生活からなんとなくイメージできるのではないでしょうか。

逆に木でできている木造建築が火に弱いこともイメージできるでしょう。木は火を燃やすときに燃料として使われるくらい日に弱い材料です。それくらい火に弱いため、木造建築は耐火性を非常に考慮しなければなりません。

それに対して鉄筋コンクリート造の建築は、通常の火災が起きたくらいでは補習なりで再使用が可能なくらい耐火性に優れています。

 

しかし注意点があります。それは、耐火性に優れているのはコンクリートだけという点です。コンクリート自体は火に非常に強いですが、その内部にある鉄筋は実は火に弱いのです。火災が起きると、鉄筋コンクリートの表面にあるコンクリートが劣化してしまいます。

火災のような高温状態にコンクリートが晒されると、コンクリート内のアルカリが二酸化炭素に触れてしまい中性化してしまします。コンクリートが中性化してしまうと、コンクリート内の鉄筋が錆びてしまいます。錆は鉄が劣化する一番の原因です。この点は注意しなければなりません。

 

そして、コンクリートが早期中性化してしまうことによって、コンクリート内に塩化物が混入してしまいます。このコンクリート内に塩化物が混入してしまうことを塩害と呼びますが、塩害が発生することによって鉄筋が腐食してしまうことも考えられます。腐食の発生によって鉄筋が膨張し、結果としてコンクリートが破壊してしまいます。

このように鉄筋コンクリートは耐火性に優れていると言いますが、実際に耐火性に優れているのはコンクリート部分であり、また注意点がたくさんあるということも覚えておきましょう。




 

耐久性に優れている

次に挙げられる鉄筋コンクリートの長所は、耐久性に優れていることです。先ほど鉄筋コンクリートは基本的に錆や蟻害、腐朽などの心配がありません。また、構造材として非常に優れており、長い間建築構造物として使用できるほど耐久性に優れています。

 

しかしこちらも注意点があります。それは「コンクリートのガン」とも言われるアルカリ骨材反応です。

アルカリ骨材反応とは?

アルカリ骨材反応は、コンクリートに使われる特定の骨材が、アルカリと反応して起こる現象です。アルカリ骨材反応を起こしてしまう骨材は、反応性の高いシリカ質骨材です。シリカ質骨材がアルカリと反応することによって、シリカゲルが発生してしまいます。このシリカゲルは乾燥剤なとに使用されるものですが、シリカゲルは吸水性が高く、給水することによって熱を発生したり膨張したりします。それによってコンクリートが劣化してしまいます。

アルカリ骨材反応は「コンクリートのガン」とも呼ばれるものですが、アルカリ骨材反応がおきないようにするには、コンクリートを作るときの骨材を考える必要があります。

 

遮音性に優れている

鉄筋コンクリートは遮音性に優れています。遮音性能は重量が大きいほど良くなります。

薄い壁よりも分厚い壁の方が遮音性が高いのは想像しやすいのではないでしょうか。鉄筋コンクリートはその特性上、分厚くなってしまいますから、その分遮音性に優れているともいうことになります。

しかし、いくら鉄筋コンクリート造とはいえ、開口部には他の構造と遮音性は同じになります。




 

経済性に優れている

鉄筋コンクリートは経済性に優れているということができます。というのも、材料としては鉄鋼よりも安価です。また、耐久性に優れているということで、メンテナンス費用や維持管理費が安いことも経済的に良いと言われる理由です。

 

しかしこちらにも注意点があります。鉄筋コンクリートは作るときに型にコンクリートを流しますが、コンクリートの型はコンクリートが乾いて出来上がった段階で捨ててしまいます。そのため型枠工事をする鉄筋コンクリート造は、床面積などが大きい場合でないと経済性に優れているというメリットが発生されにくくなります。

 

造形性に優れている

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画像出典:https://sicoarchi.exblog.jp/12036546/

こちらの画像は丹下健三さん作の東京カテドラル大聖堂ですが、鉄筋コンクリート造は独特の造形を作り出すことができます。型を作りそこにコンクリートを流し込むだけですから、曲線のような形にも対応して建築を作ることができるのです。また、コンクリートの触ったときの素材感が好きという建築家も多くいます。

 

しかし曲面を作り出すときは、施工過程で費用がかかってしまいます。一般に下のような費用の比が考えられます。

価格 平面① : 可展面・線織面② : 曲面④

このように鉄筋コンクリート造の曲面は費用が高くなってしまうことを覚えておきましょう。




 

まとめ

今回は鉄筋コンクリートの長所についてまとめました。まとめた内容をあげると、下の5つになります。

  • 耐火性に優れている
  • 耐久性に優れている
  • 遮音性に優れている
  • 経済性に優れている
  • 造形性に優れている

鉄筋コンクリートの長所として、代表的な上の5つを覚えておいてください。

鉄筋コンクリートの短所はコチラの記事にまとめましたので、ご活用ください。

 

今回の記事は以上になります。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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