この記事では鉄筋コンクリートの配筋について紹介していきます。
配筋とは、鉄筋コンクリートにおいてコンクリートの中に鉄筋を配置することを指します。
鉄筋コンクリートはコンクリートの中に鉄筋を配置した構造材ですが、鉄筋をどこに配置するかには決まりがあります。鉄筋はなるべく効果のあるところに配置した方が良いので、効率的な配筋の仕方について説明していきます。
この記事は、鉄筋コンクリートの基礎的な知識があると、さらに読みやすくなる記事になっています。鉄筋コンクリートの基本については以前まとめましたので、そちらをご覧ください。
では内容に入っていきましょう。
鉄筋コンクリートと無筋コンクリートの違い
まず始めに鉄筋コンクリートと無筋コンクリートの違いから説明をしていきましょう。
コンクリートとは、圧縮に強く引張に弱い材料でした。ただのコンクリートに引張が作用すると、すぐにヒビが入り構造材としてとても弱いものとなってしまいます。そこで、引張に弱いコンクリートの中に引張に強い鉄筋を配置したものが鉄筋コンクリートなのでした。
では、引張に弱いコンクリート(無筋コンクリート)に力が働くとどうなってしまうかを最初にみていきましょう。
こちらは両端支持の鉄筋のないただのコンクリート(無筋コンクリート)梁に荷重が作用したものを簡略化した図です。この荷重が大きくなっていくと…
このように簡単に折れてしまいます。実際にはヒビが入っていき、徐々に崩壊していきます。最大曲げモーメントが生じる中央部でヒビが発生していきます。今回簡略化のため、ヒビが入っていく過程は省略し、折れる図を紹介しました。上の図のような無筋コンクリートは構造としての弱い部分となってしまい、構造としての脆弱性に繋がってしまいます。
このように簡単に折れてしまっては、構造材として成り立ちません。
無筋コンクリートではこのように折れてしまいますが、鉄筋コンクリートの場合はどのようになるのでしょう。次はそれを確認します。
こちらは両端支持鉄筋コンクリート梁に一つの荷重が作用した場合の図です。梁内部の藍色が鉄筋だと思ってください。
この両端支持梁の荷重が大きくなっていくとどのように梁は変形するのでしょうか。
上の図のように梁は変形し、折れません。ヒビ割れは発生してしまいますが、引張が作用する部分は鉄筋が引張を負担してくれます。無筋コンクリートのようにバキッ!っと折れるのではなく、折れまいと粘り強くなります。この粘り強さのことを、靭性(じんせい)と呼びます。
建物の靭性を確保するためは、無筋コンクリートよりも鉄筋コンクリートの方が適しています。上の図でわかっていただけたと思います。
鉄筋コンクリートにおける配筋について
配筋する箇所について
先ほども少し書きましたが、配筋とは鉄筋コンクリートにおいて、鉄筋を配置することです。では鉄筋はどこに配置すれば良いのでしょうか。その決まりについて説明していきます。
ここで一度、コンクリートと鉄筋の役割について復習をします。
コンクリート:圧縮力を負担する。
鉄筋:断面内に生じる引張力を負担する。
それぞれは上のような役割があるのでした。鉄筋は断面内に生じる引張力を負担します。つまり、鉄筋は引張応力の働くところに配置します。これは、鉄筋コンクリート(RC)の大原則です。材料のひび割れの直行方向に配筋します。
では、わかりやすいように配筋の例を紹介していきましょう。
配筋の例
両端固定梁の配筋の場所についてです。
上の図のように両端固定梁に1つの荷重が作用していたとします。鉄筋コンクリートの鉄筋は。曲げモーメントが働くところに配置します。よって最初に曲げモーメント図を考えましょう。
曲げモーメント図を描くと、上のようになります。よって曲げモーメントが働いているところに配筋します。すると以下の図のようになります。
このように、鉄筋は曲げモーメントの働くところに配置します。配筋は材料に作用する曲げ応力の分布から位置を決定しますの。よって曲げ応力図を書くと、鉄筋を配置する場所がわかりやすくなります。
まとめ
今回は鉄筋コンクリートと無筋コンクリートの違い、それから鉄筋コンクリートにおける配筋について紹介しました。
コンクリートは圧縮に強い素材ですが、引張には弱いのでした。そこで引張に強い鉄筋をコンクリート内部に配置したものが鉄筋コンクリートであり、現代を代表する構造材なのでした。
また、鉄筋コンクリートのコンクリート内部のどこに鉄筋を配置するかについて説明しました。コンクリートは引張に弱いため、材料に引張が作用する部分に鉄筋を配置します。具体的な方法に関しては、まず始めに材料に作用する曲げモーメントの分布を知るために、曲げモーメント図を描きます。その曲げモーメント図から曲げモーメントが強く作用しているところを把握し、その場所に配筋するのでした。
何度か記事を読み返すと、理解も深まると思います。
今回の記事は以上になります。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。