この記事では、座屈計算をしていきます。座屈応力を求める演習問題を紹介していきます。
座屈荷重や座屈応力は、オイラーの理論式もしくはランキン・ユゴニオの式を用いて計算をするのでしたね。オイラーの理論式については下の記事で解説をしているので、そちらを参考してください。
また、ランキン・ユゴニオの式に関しては下の記事で解説しています。下の記事では、座屈計算をするときにオイラーの理論式とランキン・ユゴニオの式どちらを使うかについて詳しく解説していますので、気になる方は読んでみてください。
今回は、座屈応力を計算する演習問題を紹介していきます。早速内容に入っていきましょう。
演習問題:座屈応力を求める問題
長さ2.5[m]、断面寸法100[mm]×50[mm]で両端を固定した軟鋼性の柱の座屈応力を求めなさい。縦弾性係数(ヤング率)を206[GPa]とします。
解答例
では解答例を見ていきます。まずはじめにこの柱の細長比λ(=l/k)を求めるために断面二次半径kを求めましょう。
断面二次半径k = √(I/A)
断面積A = bh、長方形断面の断面二次モーメントI = bh³/12
∴k = √(I/A) = √(bh³/12bh) = √(h²/12)
値は最後に代入するので、ここでは文字のままで進めていきましょう。
次にこの柱の座屈応力を、オイラーの理論式で計算するのかランキン・ユゴニオの式で計算するかを判定します。この柱は軟鋼ですので、λ>90√nの関係が成り立っていればオイラーの理論式、そうでない場合(λ<90√n)は、ランキン・ユゴニオの式で計算します。関係式を検証するために、細長比λと端末係数nを求めていきましょう。
上で求めた通り、断面二次半径k(=√(h²/12))のhには、問題の柱の断面の短い方の辺を代入して計算します。そのため今回の問題では、h=50[mm]となります。
よって、細長比λ = l/k = 2,500/√(5o²/12) = 173.2
次に端末係数nです。両端を固定されている場合の端末係数n=4となります。
細長比と端末係数が求まったので、オイラーの理論式かランキン・ユゴニオの式かを決めるλ>90√nかλ<90√nを計算します。λ=173.2、n=4でしたので、これらを使って計算します。
90√n = 90√4 = 180
173.2<180なので、λ<90√nとなります。よって、この柱ではランキン・ユゴニオの式を用いて座屈応力を計算します。また、λ<90√nが成り立っているので、今回の問題の柱は中間柱として取り扱います。
さて、ランキン・ユゴニオの式での座屈応力の計算式は、以下の公式でした。
σ = P/A = σ0 / {1 + a/n × (l/k)²} = σ0 / (1 + a/n × λ²)
(σ:座屈応力[N]、σ0:材料によって決まる応力[MPa]、A:断面積[mm²]、a:座量によって決まる実験的定数、n、端末係数、l:柱の長さ[mm]、k:最小断面二次半径[mm]、λ:細長比))
この式を使って座屈応力を求めていきましょう。
軟鋼の場合、上の計算式にあるσ0=333、a=1/7,500となります。σ0とaは素材によって決まる値です。以前素材と定数σ0とaについてまとめた記事がありますので、他の素材の定数が知りたいからはそちらを参照してください。
では実際に計算をしていきます。
座屈応力σ = σ0/(1 + a/n × λ²) = 333/(1 + 1/7,500 × 1/4 × 173.2²) = 166.5[MPa]
答え
座屈応力:166.5[MPa]
まとめ
今回の記事では、ランキン・ユゴニオの式を用いて座屈応力を求める演習問題を紹介しました。座屈の計算は、長柱か中間柱かによってオイラーの理論式を用いるかランキン・ユゴニオの式を用いるか変わってきます。その長柱か中間柱かの選定方法が、細長比と端末係数の関係式なのでしたね。
座屈に関する問題は、少々難しく感じますが、流れを一度覚えてしまえば理解できると思います。なんどもこの記事を復習しながら、理解を深めていってくださいね。
今回の記事は以上になります。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。