この記事では曲げ応力を求める計算問題を取り扱っていきます。
曲げ応力を求めるためには曲げモーメントと断面係数から求めます。
梁のせん断力図と曲げモーメント図を書いて最大曲げモーメントを求め、断面係数を用いてはりに生じる曲げ応力を計算していきましょう。
演習問題1:両端支持梁の生じる曲げ応力
次の梁に発生する曲げ応力を求めなさい。
解答例
では曲げ応力を求めていきましょう。
梁に発生する曲げ応力σは、せん断力図と曲げモーメント図から求めた最大曲げモーメントをMとして、断面係数Zから次の公式で求めることができるのでした。
σ = M/Z
(σ:曲げ応力[MPa]、M:最大曲げモーメント[N・mm]、Z:断面係数[mm³])
この公式から曲げ応力は最大前モーメントと断面係数から求められることがわかります。
まず最初に最大曲げモーメントを求めるために、曲げモーメント図を描いていきましょう。
曲げモーメント図を書くために支点反力を求めます。
RB = (300×300+500×600+400×800)/1,000 = 710[N]
RA = 300+500+400-RB = 1,200-710 = 490[N]
支点反力の値を図に書き入れると上のようになります。
では次にせん断力を求めましょう。
図の左側から順にせん断力を求めます。
FAC = RA = 490[N]
FCD = FAC – 300 = 190[N]
FDE = FCD – 500 = -310[N]
FEB = FDE -400 = -710[N]
これらを図に書き入れて、せん断力図を作成しましょう。
さて、せん断力図が完成したので、次は曲げモーメントを求めていきます。
曲げモーメントは荷重点ごとに求めていきます。
MC = 490×300 = 1.47×10⁵[N・mm]
MD = 490×600 – 300×300 = 2.04×10⁵[N・mm]
ME = 710×200 = 1.42×10⁵[N・mm]
MEに関しては支点Bから考えて求めていきます。
さて、各荷重点の曲げモーメントが求まったので、これらをまとめて曲げモーメント図にしていきましょう。
この図からもわかる通り、最大曲げモーメントとなるのはMDです。
曲げ応力は最大曲げモーメントと断面係数がわからないと求められないのでした。
この両端支持梁の断面寸法は以下のようなものでした。
長方形断面の断面係数は以下の公式から求めることができるのでしたね。
Z = bh²/6
(Z:断面係数、b:断面の横の長さ、h:断面の縦の長さ)
これらの数値を代入して、曲げモーメントの値を求めていきましょう。
σ = M/Z
= 6M/bh²
上の式に、
M = 2.04×10⁵[N・mm]
b = 25[mm]
h = 40[mm]
を代入すると、
σ = 6M/bh²
= (6 × 2.05×10⁵) / (25 × 40²)
= 30.6 × 10₃ = 30.6[MPa]
答え
曲げ応力:30.6[MPa]
演習問題2:梁の縦横置き換え
演習問題1では、両端支持梁に発生する曲げ応力を求めた。
演習問題1と同一の条件で、梁の断面形状だけ以下のものに変えた場合の曲げ応力を求めよ。
解答例
では演習問題2の解答を見ていきましょう。
曲げ応力の公式は以下のようなものでした。
σ = M/Z
(σ:曲げ応力[MPa]、M:最大曲げモーメント[N・mm]、Z:断面係数[mm³])
曲げ応力を求めるには、最大曲げモーメントと断面形状が必要でしたが、最大曲げモーメントは断面形状とは関係なしに求められるものです。
よって、最大曲げモーメントは演習問題1と同じ値である、
M = 2.04×10⁵[N・mm]
を使います。
次に断面係数を求めます。
Z = bh²/6
(Z:断面係数、b:断面の横の長さ、h:断面の縦の長さ)
こちらが長方形断面の断面係数の公式ですので、この公式に、
b = 40[mm]
h = 25[mm]
を代入します。
では曲げ応力を計算していきましょう。
σ = M/Z = 6M/bh²
= (6 × 2.04×10⁵) / (40 × 25²)
= 48.96[MPa]
答え
曲げ応力:48.96[MPa]
演習問題1では縦長長方形断面、演習問題2では横長長方形断面で同じ荷重条件での曲げ応力を求めました。
演習問題1の曲げ応力は30.6[MPa]、演習問題2の曲げ応力は48.96[MPa]でした。
それぞれの長方形断面の断面積は同じですが、縦長で使うか横長で使うかによって曲げ応力の値は変わります。
また、縦長長方形断面を用いた方が曲げ応力が小さくなっています。
材料に発生する応力(抵抗力)は小さい方が強度があるということですので、縦長と横長では、縦長の方が強度のある使い方ということになります。
一般に長方形において縦長で使った方が強度が出る(曲げ応力が小さくなる)ということを覚えておいてください。
まとめ
今回は曲げ応力を計算する演習問題を紹介しました。
曲げ応力を求めるには、最大曲げモーメントと、断面係数を求めなければならないのでしたね。
また、曲げ応力の公式も紹介しました。
公式は曲げ応力を求めるために必須ですので、覚えておきましょう。
また、同じ荷重条件でも縦長断面か横長断面かによって曲げ応力の大きさが変わるということが演習問題1と演習問題2でわかったと思います。
縦長長方形断面の方が横長長方形断面よりも強いということが手にとってわかったと思います。
このことも覚えておきましょう。
今回の記事は以上になります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。