この記事ではアルカリ骨材反応について詳細に解説をしています。

 

アルカリ骨材反応とは

アルカリ骨材反応とはコンクリートの劣化の原因となるものです。高いアルカリ環境にさらされたコンクリート中の骨材が、反応して膨張し、コンクリート構造物の劣化へとつながるものです。「コンクリートのガン」とも呼ばれています。

アルカリと反応しやすいとされている骨材は、反応性の高いシリカ質骨材です。シリカ質骨材がアルカリと反応することでシリカゲルが発生し、シリカゲルの吸水性が原因で熱が発生・膨張することによってコンクリートが劣化します。後述しますが、こちらは「アルカリシリカ反応(ASR)」と呼ばれるものです。

他にはアルカリ骨材反応と呼ばれるものとして、「アルカリ炭酸塩反応」というものがあります。こちらはコンクリート中に含まれるアルカリが、カルシウムやマグネシウムなどの炭酸塩からなる鉱物であるドロマイド質石灰岩と反応することによって発生するものです。

アルカリ骨材反応がどのようなものか説明した上で、次ではアルカリ骨材反応の種類について詳細説明します。




 

アルカリ骨材反応の種類について

アルカリ骨材反応は大まかに分けて2種類あります。「アルカリシリカ反応(ASR)」と「アルカリ炭酸塩反応」の2つです。最初はアルカリ骨材反応といえば多くがこれにあたる「アルカリシリカ反応(ASR)」からです。

 

アルカリシリカ反応(ASR)について

アルカリ骨材反応といえば、ほどんどがアルカリシリカ反応のことを指します。アルカリ骨材反応はコンクリートのガンと呼ばれるほど設計時に考慮すべきものですが、日本で最も多く発生しているのがこのアルカリシリカ反応です。

シリカとは二酸化ケイ素(SiO2)によって構成される物質です。砂の主成分である石英やガラスの主成分ともなる硅砂などもシリカから成っています。コンクリート中に含まれるシリカがアルカリ環境下にあることで、反応を起こし膨張を起こしひび割れを加速させます。この想定外のひび割れがコンクリートの劣化の速度を上げることとなります。

 

アルカリ炭酸塩反応について

次にアルカリ炭酸塩反応についてです。アルカリ炭酸塩反応は、アルカリとコンクリート中に含まれているドロマイド質石灰岩と反応するものです。ドロマイドとは、カルシウムやマグネシウムなどの炭酸塩からなる鉱物のことを指しますが、「苦灰岩」や「白雲岩」と言われています。このドロマイド質石灰岩もアルカリとの反応性をもっており、アルカリと反応することで膨張します。




 

アルカリ骨材反応への対策について

ここまでアルカリ骨材反応というのはどんなものなのか、どのような種類があるのかについて解説をしてきました。次にアルカリ骨材反応の対策について紹介します。

アルカリ骨材反応に対する解決策としては、以下のようなものがあります。

  • アルカリシリカ反応(ASR)に関して無害と判定された骨材を使用する
  • 低アルカリ形とされているポルトランドセメントを使用する
  • コンクリート1[m³]当たりのアルカリの総量を酸化ナトリウムで3.0[kg]以下にする

これらが挙げられます。

 

まとめ

この記事ではアルカリ骨材反応についてまとめました。

アルカリ骨材反応とは、コンクリートのガンとも呼ばれるコンクリートの劣化現象です。コンクリート中に含まれる骨材とアルカリが反応して発生します。骨材中の特定の成分とアルカリが反応を起こすことで、膨張したり熱を発生させたりします。それによってコンクリートに予期しない応力が発生し、コンクリートの劣化につながります。

アルカリ骨材反応には主に2種類ありました。アルカリシリカ反応とアルカリ炭酸塩反応でした。アルカリシリカ反応はアルカリ骨材反応といえばほとんどがこれに当たるものであり、骨材中のシリカ質物質がアルカリと反応します。アルカリ炭酸塩反応はコンクリート中のドロマイド質石灰石がアルカリと反応して発生します。

アルカリ骨材反応の対策として、コンクリートに使う骨材を厳選したり、コンクリート中のアルカリ環境について対策をすることでした。

アルカリ骨材反応は現代で最も使われているコンクリートに発生する劣化現象です。何度か読み返してその理解を深めてください。

今回の記事は以上になります。最後まで読んでいただき、ありがとございました。